決算報告書
年度末を過ぎると税理士から決算報告書が渡されます。このページでは決算報告書の中身について説明します。
決算報告書にはいろいろな書類が入っている
決算報告書にはいろいろな書類が入っていますが、なかでも
- 貸借対照表
- 損益計算書
- キャッシュフロー計算書
の3つは「財務三表」と呼ばれ、企業の財務状況や経営成績を把握するのに重要な書類です。
貸借対照表
書類からわかること
会社の資産と負債がわかります。
M&Aでは企業の買取価格を決めるのに使われます。
役員借入金
会社の役員が個人で保有している資金を会社に貸し付けているお金のことです。
役員借入金で会社にお金を入れた場合、会社の資金は増えますが資本金の扱いにはなりません(負債扱い)。
なので、
- 資本金が1億円を超える → 法人税の軽減税率が対象外になる
- 資本金が3千万を超える → 中小企業の素材特別措置法の税額控除を受けられなくなる
といった面で節税対策になります。
【破産手続き】
破産手続きでは、債権者に対して債務を返済する優先順位が定められています。
優先順位は
1.労働債権(従業員の給与や退職金)
2.担保付き債権(担保に基づいて回収)
3.一般債権
であり、役員借入金は一般債権に含まれます。
そのため、会社の保有する資産が十分でなければ、全額が回収されない可能性があります。
ちなみに、役員借入金が返済されても、役員は貸したお金を返してもらっているだけであり、所得税や住民税の課税を受けることはありません。
また、役員借入金は相続財産となりますが、自社株の評価に従って評価圧縮することができません。
会社が債務超過の場合、会社を相続した人は負の財産として役員借入金を引き継ぐことになります。
未払金
後払いで購入したものは未払金に計上されます。
流動負債
支払手形、買掛金、未払金のように1年以内に支払期限が来る負債です。
ワン・イヤー・ルールにより1年を超えて支払いができないときは流動負債→固定負債となります。
固定負債
金融機関の長期借入金や社債のように、1年を超えて返済可能な負債です。
損益計算書
書類からわかること
一定期間における会社の利益と損失がわかります。
売上総利益
売上高から売上原価を差し引いたもの
原価が増えたことで売上総利益が下がったのであれば、コスト削減の必要がある
営業利益
売上総利益 ー 販売管理費
営業利益が安定しているなら、本業で利益がしっかり出ており、経営の健全性が評価される
経常利益
営業利益 + 企業の財務活動(利息や配当)
財務活動による収支が利益に大きく影響していないかを確認するために使う指標
当期純利益
すべての収益からすべての費用を控除した会社の最終損益
収益性分析・安全性分析・生産性分析・成長性分析
ROA(会社の総資本を使ってどれだけの収益を上げたか)
営業利益(損益計算書)÷ 総資本(貸借対照表)× 100
自己資本比率(比率が低ければ負債が多いので会社の安定性・信用が低い)
純資産 ÷ 総資本(負債+純資産) × 100
1人あたりの売上高
売上高 ÷ 従業員数
売上高伸び率
(当期売上高 ー 前期売上高)÷前期売上高
キャッシュ・フロー計算書
書類からわかること
企業の現金の流れを示す財務諸表。
- 営業活動によるキャッシュフロー
- 投資活動によるキャッシュフロー
- 財務活動によるキャッシュフロー(資金調達や借入金の返済、株式や債券の発行など)
に分かれています。
収益が上がっていても、現金が不足していると事業が継続できないため、キャッシュフローが黒字であることが必要です。
投資活動や財務活動のキャッシュフローを見れば、企業がどの程度成長に向けて投資しているのか、また資金調達や返済にどう対応しているのかがわかります。